
いまや日本で最も有名となったロボットアニメシリーズのコミック化。
著者は第一作のメインスタッフを務めた後、まんが家として独立して以来一貫して歴史物を描きつづけている。
その創作姿勢は、本作でも変わらない。人々の生活の息づかいを描きながら、同時に、世の中が戦争になだれこんでいく大きなうねりをとらえようとする。『虹色のトロツキー』『王道の狗』などの近代史物の傑作をものした実力が、本作でも遺憾なく発揮されている。
「ガンダム」の設定は、放映当時としては驚くほど緻密だったが、とは言ってもやはり子ども向けだ。
戦争をリアルに描いたとして評価する声もあるが、実際のところそこまでの内実はなかった。
戦闘は描かれても、戦争は描かれない。
年表はあっても、歴史はない。
戦争や歴史は、政治や経済などを視野に入れないかぎり見えてこない。当時は、そこまで描く必要がなかったとはいえ、ガンダム世代が成長して大人になり、いまだに人気が高まる中では、その肥大化に見合った内実が改めて求められるわけだ。
この作品が今描かれる意義はそこにあるのだと言う。
9・11以降、戦争という言葉の意味がとらえなおされ、重みを増していく時代の中で、ようやく「ガンダム」に肉づけされつつある。
歴史作家・安彦良和だからこそ描けた、きわめて重厚な作品だ。
機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (12)
著者: 安彦 良和・矢立 肇・富野 由悠季
出版社: 角川書店
価格: ¥ 588
- 2006/05/04(木) 14:34:12|
- 機動戦士Zガンダム -恋人たち-
-
| トラックバック:0
-